油入式フライバックトランスの製作

ご注意

フライバックトランス(以下FBT)から得られる高電圧は非常に強力かつ危険なものです。感電した場合、命に関わる深刻な事態に陥る可能性があります。そうならないよう、絶縁手袋を着用したり、ヒューズやブレーカーを挿入する等の安全対策をとってください。

概要

ネットの情報を参考に、CRT用のFBTのコアを利用して高周波・高電圧の交流電流が取り出せるFBTを製作しました。10kV以上の電圧を得ることができ、強力なアーク放電をしたり、真空放電したり、CW回路をドライブしたり、色々なもの焼いたりできます。乾式のものは結構見かけますが、油で絶縁するものはあまり見かけなかったので作り方を紹介します。

参考にした動画・サイト

使用したもの

材料

ネットで購入したものはリンクを貼っています
  • CRT用フライバックトランス(コアのみ使用。できるだけ大きいもの)
  • PEW 1.6mm(1次巻線用)
  • UEW 0.29mm(2次巻線用)
  • シリコーンオイル KF-96-50cs (エンジンオイル等、電気絶縁性のある鉱物油なら大体何でもいいと思う)
  • クリアファイル(コイルの層間の絶縁用)
  • 容器の材料(アクリル容器・アクリル板等、必要に応じて)
  • エポキシ接着剤(今回は『ボンド エポクリヤー』を使用)

道具

実験用機材

  • スライダック(5A)
  • ZVS Flyback Driver(後述)

構造・作り方

今回は手元に真空ポンプがあったので、参考として挙げた動画のようにコイルの層間に絶縁体を挟んで油に沈め、脱ガスすることにしました。層ごとの絶縁が簡単かつ確実に行えるメリットがありますが、油漏れに気を遣うなど、やや扱いにくくなります。動画では層間を新聞紙で絶縁していますが、燃えてしまったようです。厚手のクラフト紙で実験したところ 脱ガスしても5kVで20秒ほどしか耐えられなかった ため、もうひとつ紹介したブログ記事を参考にクリアファイルで絶縁をすることにしました。

コア

コアはCRT用のFBTから取り出したものです。モノによるかもしれませんが、コアに付いているコの字型のバネを外してペンチでグイグイ引っ張ると分解することができました。


コアは2つのパーツに分かれています。下の写真でコアが接する部分に銅線の切れ端のようなものが見えますが、これはコアの間にギャップを作るために必要なものなのでそのままにしておきます。

1次コイル

有名な ZVS Flyback Driver を使用することを想定して、1.6mmのPEWでセンタータップありで5turn+5turnのコイルを巻きました。コアと1次コイルの間の絶縁が不安だったため、クリアファイルのシートをコアに巻き付けて、その上からコイルを巻きました。

2次コイル

ボビン

ボビンはコアの形状に合わせた大きさのアクリルパイプ(板厚2mm)を「アクリルショップはざいや」で発注しました。クリアファイルのシートで筒をつくるだけでもいいかもしれません。

巻線と層間の絶縁

ボビンにひたすらコイルを巻いていき、一層分を巻けたらクリアファイルのシートをぐるりと1周+α巻き付け、次の層を巻きます。あとで油が隅々まで行き渡るよう、接着剤の類はできるだけ使用していませんが、コイルがバラバラにならないよう、巻き始めと終わりにちょっとだけ瞬間接着剤をつけています。今回は1層あたり110回巻き強くらいだったので、9層巻いておよそ1000回巻きとしました。巻き終わったあと、全体を結束バンドで締めました。


ちなみに非常に退屈な作業なので、巻きながら回数を数えても途中で訳が分からなくなりますし、集中できません。巻き終わってから写真を撮ってExcelシートなどに貼り付けると比較的簡単に巻き数が分かります

組み上げ

容器の蓋を加工してコアと配線を固定します。特に2次コイルと容器内壁の間は十分に絶縁距離が保たれるように配置します。配線を通した穴はエポキシ接着剤で塞ぎました。2次側の配線や端子は近すぎると放電が起きてしまう恐れがあるので十分に距離をとります。


今回は容器を丸ごと真空脱泡器に入れるつもりだったので、蓋に小さな排気穴を開けておきました。組み上がったらコアとコイル全体が浸るまで油を注いで蓋を閉めます。

真空引き

容器を真空脱泡器に入れて真空引きします。メチャクチャ泡が出てくるので、いきなり全力で排気すると吹きこぼれるかもしれません。排気バルブは最初は閉じて、少しずつ開けていくことをお勧めします。
多分、いくら真空引きしても延々と泡が出てくると思います。泡の出かたに変化が無くなってきたら止めてもいいと思います。多分5分~10分くらいです。終了直後は薄い泡の膜のようなものが2次コイルの内部に残っていましたが、翌日になると見えなくなっていました。

密閉+ガス抜き穴

脱ガスが完了したら密閉して完成…ですが、コイルの絶縁が不十分だった場合、油中で放電が起きてガスが発生する恐れがあるので、破裂を防ぐためどこかにガス抜き穴を作っておいた方がいいと思います。私は排気用の穴に爪楊枝の先端を突っ込んでおきました。

ZVS Flyback Driver

有名な こちらの回路 です。使用した部品は以下の通り。
  • MOSFET: IRFP21N60L (600V21A)
  • インダクタ: 200uH 9A
  • 共振コンデンサ: メタライズドフィルムコンデンサ 100nF×8並列
  • 他: 回路図通り

実験

40V入力時で13~14kVほど出るようです。それ以上は素子の耐圧的に怖いのでやってません。交流が取り出せるので、誘電体バリア放電など、CRT用のFBTではできない実験もできます。繰り返しますが、くれぐれも感電しないように注意しましょう。

アーク放電


ヤコブの梯子

木の板にリヒテンベルク図形を刻むやつ

誘電体バリア放電(プラズマボール?)

誘電体バリア放電(豆電球)

コッククロフト・ウォルトン回路で100kV放電

詳細 → CW回路で「10まんボルト(100kV)」を撃つ

YouTube動画

コメント

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